もの忘れ外来このページを印刷する - もの忘れ外来

もの忘れにお悩みの方へ 

もの忘れを生じる背景には、脳の状態のみならず、脳に影響を与える身体の状態や精神の状態がみられ、さらに、加齢にともなう変化も影響します。神経細胞が変化して脱落する「神経変性」の影響は、アルツハイマー型認知症のアミロイドの研究からは、認知症を発症する20年前から始まっているとも言われています。ー方、身体の状態が改善し精神の状態が改善すると、記憶の中枢、“海馬”、には「神経新生」がみられ認知機能は改善していきます。「神経変性」に対して「神経新生」が逆転できれば、認知機能は改善していきます。
今まで、認知症に対しては、「神経変性」についてその進行を遅くするという薬物しか選択できませんでした。今後は、「神経新生」を優位に保ち、進行の停止や病状の回復を目指す治療法が中心になっていきます。
もの忘れがみられだした方は、「神経新生」を優位に保つことで病状の回復が得られます。

認知症疾患治療病棟について

菊池病院は、室伏君士名誉院長(故人)のもと、精神科の病院として全国に先駆け昭和52年から認知症の治療病棟を開設しました。その治療の実践の中で、人は認知症になっても、その人らしく生きようとしている姿がみられることに接することができます。老いの心理と記憶障害に伴う神経心理に沿った関わりや集いの中で、お互いに癒されていくことを学びました。

記憶障害のため「つい少し前の記憶」を失っています。失っていることで喪失体験を経験し、うつ状態や不安を生じます。同時に、「つい少し前の記憶」から始まる未来への予測ができない状態がみられ、不安は倍増します。そして、不安に基づく思いのままの行動を生じてしまいます。連続した瞬間ごとに不安がみられる状態です。
しかし、安心感や快の感覚を連続させることができると、本人の「今」を大切にする事ができ、不安にとらわれる瞬間がなくなり、笑顔がみられ、「その人らしさ」が発揮されます。

認知症高齢者ケアの原則

なじみの関係10か条

  1. なじみの人間関係(仲間)を作る
  2. 本人の言動を受容し、その人の心を理解する
  3. 本人のペースやレベルに合わせる
  4. 理屈による説得よりも共感的な納得を図る
  5. 本人にふさわしい状況を与える
  6. よい刺激を少しずつ絶えず繰り返し与える
  7. 孤独に放置しない、老人を寝込ませない
  8. 急激な変化は避け、大事なことをパターン化して繰り返し教える
  9. 本人の良い点を認めて、よい付き合いをする
  10. 本人の“今”を大切にする

前頭側頭型認知症について

脳の前の部分(前頭葉)と横の部分(側頭葉)が、徐々に縮んでいく(萎縮)につれて、様々な症状が引き起こされる状態のことです。もの忘れよりも、性格変化やコミュニケーション障害・行動異常といった、社会生活上の支障が目立つのが特徴です。

はじめのうちから人格や行動に問題がでてくることや、あまり知られていないことなどから、しばしば精神疾患や他の認知症と間違われ、診断されることがあります。

この認知症は、ご本人や介護者の方にとって、とても負担が大きいため、正しく理解し、症状にあったケアをしましょう。

> 前頭側頭型認知症についての詳しい説明はこちらから